第一印象は「なにこれ人すぎる！ロボットが見たい！！」って感じだったのですがフクロウ男爵を始めとして世界忍者たちと分かりあってどんどん仲間が増えていく感じがとても好きで終盤にフクロウ男爵、馬風破、ワイルド、ロケットマンが揃うところはテンション上がりました。あと、ジライヤといえば何と言っても主題歌ですね。渋い感じのメタルダーも悪くなかったですが打って変わって初っ端からジライヤジライヤってフルスロットルなのはヒーローっぽいです。

この作品はメタルヒーローシリーズのひとつに数えられていますが、忍者なので、宇宙刑事やサイボーグのような強さはありません。あくまで忍者服を来て戦う人間なのがやや異色です。まあ妖術やら闘気やら本当に人間か？といいたくなるような人外もどきはありますが。細かく見ると欠点もありますが、時代ならではの勢いやアクションなど見所があり、かなり魅力的な作品です。話そのものは単純で、世紀の秘宝と呼ばれるものがあり、それを狙って因縁のある悪の忍者集団と世界の忍者たちと戦うというものです。もっと後の時代に作られたらドラマ性をもっと強化されたものができたかもしれませんが、話がシンプルな分、重くならず見やすいです。義妹やら謎のお助けヒロインやら敵の首領の娘忍者などヒロインをたくさん出しながら、恋愛要素がないというのもすごいです。ある意味、登場キャラをいかせていないわけでもあるので、キャラ人気をもっとあげるポテンシャルはあったかもしれません。意外と突っ込みどころのあるストーリーや設定もありますし。また言葉の使い方もところどころおかしく、「こいつはおまえらの敵ではない」など正しくは「おまえらのかなう相手(敵)ではない」などでしょう。尺か子供向けということでか、かなり簡略化されています。　ライバル忍者が友情や友人と言いながら、主人公のジライヤを疑ったり、裏切ったりするので、「安い友情だな」と突っ込みいれたくなるのですが、それを主人公のジライヤが「友達だから」とあっさりうけいれ、許しているので、それでいいのか？とはちょっと思います。とはいえ、これはこれで納得がいくのです。主人公がお人好しの善人として設定されており、エンディングやオープニングでも「人には愛」とか「地球をだきとめるでっかい心」「お前の弱さと戦え」と歌われています。これを見る子供に「許す心」とか度量の広さのかっこよさを見せる狙いだったと考えれば納得いきます。なにせこの作品はヒーローモノですから。一方、武術指南がいたことや、殺陣をかなり意識した立ち回りなど、剣術やアクションはかなり見ごたえありリアルです。主役の筒井巧さんはこの作品が縁でそのまま戸隠流宗家を継ぐなど、思い入れもかなりあったでしょう。地味に敵とか野外で服とかに汚れがこびりついていたりと、ちゃんとアクションしてるところに目がいったりもします。宿敵が新興忍者集団のボスで、金とか大好きな小悪党で、規模としてはヤクザの親分位なので、セコい犯罪が多いのですが、そのせいで人間味があって、微妙に嫌いになれないです。あとこの作品を今になってみると当時の時代性とかわかります。邪道な見方だと思いますが、ロケ多かったり、当時の流行をシナリオにすぐ取り込もうとするヒーロー番組はけっこう時代性を読み取る楽しさがあります。主人公が時給600円の日雇いバイトして稼いだりしていますが、それだけ仕事があった時代でもあり、契約社員とか派遣とかもでき上がらず、ユルい契約で成立できるおおらかな時代だったんだなとかです。あと建物もいまと様変わりしていて、東京や神奈川もまだまだ素朴で開発がまだまだです。赤レンガ倉庫など、人気もなく、工事現場のような様で、みなとみらい開発本格化前だったからでしょう。ホテルエンパイアなどでも独特な形のホテルでロケしていますが、これは現在ではホテル廃業して、大学の建物として使われているようです。またレジャー施設として、行川アイランド、ゆうもあ村、日光ウェスタン村などでもロケしていますが、これらの施設は潰れ、現在では跡形もなものになっており、まさに時代を感じさせます(戸隠の忍者村は2021年現在まだあるので、そこはホッとします)物語でも、地上げが儲かるとか、主人公たちの道場が騙しとられそうになるなど、当時のブームがでています。サブキャラに占い師がいたり、「占いの館」が作中で出るといったあたりも80年代半ばのことです。ヒロインのひとりの私服が、今からジュリアナ東京にでもいくのか？という服装だったりするのも反映しているでしょう。今だとケバくてちょっとどうだろう？というセンスの服にみえます。こういう点を色々考えなから見ても面白い作品でした。

オープニングから爆発に次ぐ爆発。アクションに次ぐアクション。この時代のヒーロードラマそのものでした。4歳の子供には刺激が強すぎたかも・・・。

最高に面白い。Amazonで見られるなんてありがたいです。

前作のメタルダーがサイボーグ、次作のジバンもサイボーグとメタル系ボディのヒーロー物が安定期に入る中で、主人公が身に着けるのは忍者スーツ、敵も忍者であり、人間であるという異色のヒーローでした。サイボーグを荒唐無稽ととるか、忍者同士の忍者戦を荒唐無稽ととるかは個人差があると思いますが、サイボーグ系が好きた私もこの作品の人間らしさ、サイボーグにない拳法系のアクション、魅力ある登場人物は意外に楽しかったのを覚えています。

Goooooood